医療法人社団 藤弘会 齋藤耳鼻咽喉科医院

 

 

鼓膜切開術及び鼓膜(排液・換気)チューブ挿入術

【目的】

<滲出性中耳炎>

 滲出性中耳炎は、中耳に液体が貯留した結果、難聴・耳のつまり感・耳鳴り・自分の声が響く感じなどの症状が怒る病気で、風邪を引きやすく、生理的にアデノイドや扁桃が大きい時期の小児によく見られます。中耳腔は、鼻の奥と耳管でつながっていて、空気の喚起を行なっていますが、(1)(3)のような場合はこの換気がうまくいかなくなり、中耳炎を引き起こします。

 (1)急性中耳炎の治療が不完全で、鼓膜の内側(中耳腔)に水性〜粘性の貯留液が残存する

 (2)鼻の一番奥にあるアデノイドや口の中にある扁桃が大きく炎症を繰り返す場合

 (3)鼻炎や慢性副鼻腔炎がある場合

 (4)飛行機やダイビングなどで急激な気圧の変化を受けた場合

 治療法は、保存的治療として抗生剤の内服になりますが、これで改善しない場合は鼓膜に切開(鼓膜切開術)を入れて中の貯留液を排出させることが必要になります。鼓膜に切開を入れても、傷は約1週間程度でふさがりますが、この治療を行なっても滲出性中耳炎を繰り返す場合は、中耳腔の改善のために鼓膜にチューブを留意することが必要になります(鼓膜(排液・換気)チューブ挿入術)。この手術は、基本的には外来時に局所麻酔で行いますが、小児で安静が保てない場合は全身麻酔(当院では行なわない)で行ないます。

【方法】

<鼓膜切開術及び鼓膜(排液・換気)チューブ挿入術>

麻酔:局所麻酔(片側10分)

時間:鼓膜切開術及び鼓膜(排液・換気)チューブ挿入術・・・(片側510分)

方法(1)顕微鏡を使って、器械を耳の穴(外耳道)に挿入し、鼓膜がよく見えるようにします。

   (2)鼓膜に切開刀(メス)を使って穴を開けます。(鼓膜切開術)

   (3)鼓膜の内側(中耳腔)に貯留している液体を吸引します。

   (4)チューブを鼓膜の穴に挿入して終了します。

 

【合併症】

(1)感染(耳漏):手術後12週間は、中耳腔に貯留していた液体が外に排出されるため耳漏が続くことがあります。長く続く場合は抗生剤の投与をいたします。

(2)出血:手術時に鼓膜の炎症が強い場合、手術直後に耳内から出血することがあります。その場合は、止血処置を行ないます。

(3)痛み:手術直後から耳の痛みが出ることがありますが、その場合は痛み止めを使用いたします。

(4)チューブの早期脱落、鼓膜内落下:通常チューブは36ヶ月間すると自然に取れてしましますが、場合により早いうちに取れる場合があります。その場合は、外来で中耳炎の状態をよく観察し、繰り返す場合は再挿入いたします。また鼓膜の内側(中耳腔)に落下する場合もあります。落下しても害はないと言われていましが、長期間排出されない場合は、再び手術でチューブを取り出し、再挿入することもあります

(5)チューブ脱落後の鼓膜穿孔残存:チューブが取れた後に鼓膜に穴(鼓膜穿孔)が残ることがあります。この場合、耳漏や難聴が出現する場合は、鼓膜を閉じるための手術を行なうことがあります。

(6)滲出性中耳炎再発:チューブが取れた後に滲出性中耳炎が再発することがあります。内服薬治療や鼓膜切開術施行で、再発を繰り返す場合は、再度チューブを挿入することもあります。

(7)味覚障害、めまい、難聴:通常は、起こる可能性は少ないですが、症状が出た場合は、症状に合わせて対処いたします。

 

【術前・術後の注意】

手術直前の飲食は避けて下さい。

・鼓膜換気チューブ挿入術の術後は、術後24時間は運動を控えて下さい。プールは基本的には不可ですが、学校等の場合、特殊なシリコンの耳栓を使用することにより、水泳を制限つきで許可することもあります。必ず、医師の指示に従って下さい。

・手術当日のみ入浴を控えて下さい。

・手術した耳をいじったり、つついたりしないで下さい。また、耳の中に水を絶対に入れないで下さい。入浴時はオウメ綿を使用して下さい。

鼓膜換気チューブ挿入術を施行した翌日は、かならず再診して下さい。

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