鼓膜形成術(穿孔閉鎖術)

<適応疾患>

  • 慢性穿孔性中耳炎
  • 外傷性鼓膜穿孔

<目的>

・鼓膜に穿孔(穴)により、聴力低下をきたし、耳漏をくりかえしたりします。テルダーミス真皮欠損用グラフトを用いて鼓膜穿孔を閉鎖することで聴力の改善や耳漏の停止をはかります。

<方法>

・局所麻酔(10分)手術時間(約15分)

・経外耳道(耳の中)からの操作で鼓膜を一部切除し、穿孔閉鎖に必要な足場を接着します。

足場としては、患者さんの穿孔の状態により、テルダーミス真皮欠損用グラフトを利用し、外切開はしません。外因性の鼓膜増殖因子として、点眼瓶に入れた血清点耳液を自宅にて1日3~4回、1回1滴点耳を行っていただきます。1~2週ごとに再診し、テルダーミス真皮欠損用グラフトなどのずれがあった場合は、膜を除去し再度同様の処置を行います。

<合併症>

・鼓膜の再穿孔(約3~4割の例。その場合、再手術が必要となります。)

・めまい、耳鳴、聴力低下(局所麻酔薬あるいは手術操作によります。多くが一過性です)

・味覚低下(局所麻酔薬あるいは手術操作によります。多くが一過性です)

・顔面神経麻痺(極めて稀です。)

・真珠腫(難治性中耳炎)の併発(稀ですが、発症すれば再手術が必要です)

<術前・術後の注意>

・手術直前の飲食は避けて下さい。

・鼓膜閉鎖術の術後は、指示があるまで運動・入浴を控えて下さい。プール(特に30cm以上潜水)は基本的には不可です。

・手術した耳をいじったり、つついたりしないで下さい。また、耳の中に水を絶対に入れないで下さい。入浴時はオウメ綿を使用して下さい。

・鼓膜閉鎖術を施行した翌日は、かならず再診して下さい。