アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎について

病態・疫学

アレルギー性鼻炎は花粉などのアレルゲン(抗原)が鼻粘膜から侵入することで異常な免疫反応を起こす病気です。喘息やアトピー性皮膚炎と同様にしばしばアトピー体質をもちます。アレルゲンには、スギやヒノキなどの花粉やハウスダスト、ダニ、動物上皮、昆虫、カビなどがあります。花粉は季節によって飛ぶ種類が変わるので季節性アレルギーと呼ばれます。スギ花粉症は国民病とされ、成人までに国民の半数の人が発症しています。静岡や山梨などスギ林が多い地域に多く、北海道や高原地方ではシラカンバの花粉症が多いです。ヒノキ、イネ科、キク科のアレルギーも年々増加傾向となっています。

症状 

アレルギー性鼻炎は、鼻みず・鼻づまり・くしゃみが3大症状で花粉症では眼のかゆみが加わります。慢性的な鼻症状は生活の質を損ないます。花粉症では80%の方の生活に支障が出ています。睡眠の質が低下して集中力の低下をきたし、仕事や勉学、スポーツにも悪い影響を与えます。10-20代に多いハウスダストやダニアレルギー患者では、通年性に症状があるため慣れてしまい、花粉症患者に比べて放置しているケースが多いことが問題となっています。

アレルギー性鼻炎の治療

先ずは予防が大切です。アレルゲンの除去と回避を行いましょう。

治療は、薬物療法免疫療法外科的治療の3つに分けられます。

薬物療法(対症療法)は、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻・点眼薬を併用することが一般的です。その他にも種類があり、効果には多少の個人差がありますので、服用回数や眠気などの副作用と合わせて相談してください。
免疫療法は、アレルゲンを毎日少しずつ摂取し、免疫を作る治療です。根治的治療は現在これしかありません。日本ではスギとダニの舌下投与薬があります。症状改善効果は、スギでは初シーズンから、ダニでは数ヶ月後から出ます。しばらく継続する必要があり、3−5年間は治療が必要です。抗アレルギー薬を中止・減量できるメリットがあり、薬物療法に効果がない方にも有効です。喘息や他のアレルギーの発症を防ぐといった報告もあります。使用するうえでの注意点がありますので相談してください。
外科的治療には、鼻粘膜を焼灼・凝固して、アレルギー反応を軽減させる治療や、鼻閉が主な方には、鼻腔を広げる手術、鼻漏・くしゃみが主な方にはアレルギーの神経を切断する手術があります。薬物療法や免疫療法で効果の少ない方や薬を使用したくない方が対象となります。
ラジオ波による鼻粘膜凝固術は、レーザー焼灼に比べて、術後の鼻閉期間は短く、出血などの合併症も少なく、効果の持続期間が長いです。他の手術に比べて侵襲も少なく(5分程度)で終わるメリットがあります。鼻中隔の弯曲や鼻甲介の肥厚があり、鼻腔が狭い方は、鼻閉改善手術を推奨します。いずれの治療も日帰り・局所麻酔で行っています。希望する方はいつでも相談ください。

当院の薬物療法の詳細


①内服薬
第2世代抗ヒスタミン薬(アレグラ、アレロック、ザイザル、ビラノア、クラリチン、デザレックス等)
抗ロイコトリエン薬(オノン、キプレス、シングレア) ▶鼻閉型に有効
その他の抗アレルギー薬(IPD、リザベン等) ▶鼻閉型に有効
・初めは定時で使用し、安定後は調整してください。
・副作用で眠気の恐れがある薬を使用している方は、運転しないで下さい。高齢者は認知機能が低下することがあります。
・眠気などの副作用や効果など問題がある時は、早めに再診し、診察時に申し出て下さい。
②頓服(ひどい時)ステロイド内服(プレドニン)
・この薬を使用する前に、点鼻薬の増量をして下さい。内服の変更についても相談して下さい。副作用リスクから原則使用を推奨していません。
③点鼻薬ステロイド点鼻薬(ナゾネックス、アラミスト、エリザス)
 ▶1日1回、成人は1回2噴霧、子供は1回1噴霧症状が強い場合は2回使用可です。
血管収縮薬点鼻(プリビナ) 症状が強い方、短期間の鼻閉改善効果あり。
 ▶薬剤性鼻炎の原因となるため1回使用後、3日間あける。必ずステロイド点鼻薬と併用。
④点眼薬リザベン点眼     1日4回  1回1-2滴 (予防投与の場合、2回/日)
パタノール点眼    1日2-4回 1回1-2滴 (痒い時の頓用使用可)
アレジオン点眼   1日4回  1回1滴 (コンタクト可)
アレジオンLX点眼  1日2回  1回1滴 (コンタクト可)
・原則点眼薬はコンタクトを外して使用してください。

効果がなければ早めに眼科を受診して下さい。(耳鼻科では、強力なステロイド点眼薬は処方できません)
⑤注射薬(皮下注)●ヒスタグロビン
・非特異的免疫療法です。血液製剤です。同意書のサインが必要です。
・1〜2週間ほど非常に有効とされます。受験、旅行など超短期的な効果を希望する方に使用しますが、効果や発現期間、持続期間には個人差があります

一般に週に1.2回、数週(5,6クール)続けて行います。
・ガイドラインで推奨されているスタンダードな治療ではありません。

●ゾレア ※完全予約制です
・抗IgE抗体治療薬です。従来の治療法で効果のない重症スギ花粉症に適応があります。
・ガイドラインで重症患者に推奨されている薬です。

・12歳以上、2-4週おきに最大3回皮下注射をします。比較的高額で3割負担で4000円〜70000円弱かかります。体重や血中IgE値で金額(用量) が変わります。受験生で希望される方が多いです。

よくある質問

症状が出る前(花粉の飛散開始前)や、症状の軽い時から抗アレルギー薬を使用する「初期療法」が非常に有効です 。飛散シーズン中、継続して薬を使用することでピーク時の症状を軽く抑えることができますので、本格的に飛ぶ前からの対策をおすすめします 。

*参考資料:花粉症一口メモ 2025年版

スギ花粉症を根本的に治すことが期待できる治療法として、「舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)」があります 。アレルゲンを含むお薬を毎日舌の下に投与し、徐々にアレルギー反応が起きない体質に変えていく治療です 。保険適用で行うことができ、小児にも効果が期待できます 。ただし、花粉が飛散している時期(症状が出ている時期)には治療を開始できないため、時期をずらしてご相談ください 。

*参考資料:花粉症一口メモ 2025年版

ヒノキ花粉によるアレルギーの可能性があります。スギとヒノキは種類が同じで、花粉の抗原が似ているため、スギ花粉症の人はヒノキ花粉(5月ごろまで飛散)でも症状が出ることがあります 。また、6月以降も症状が続く場合は、イネ科(オオアワガエリ・カモガヤなど)やキク科(ブタクサ・ヨモギなど)の草の花粉、あるいは通年性のアレルゲン(ダニ・ハウスダストなど)が原因となっている場合があるため、改めて受診をして原因を調べることをおすすめします 。

*参考資料:花粉症一口メモ 2025年版

一般的に、「気温が高い日」「雨の日の翌日で天気が良い日」「風が強く晴天で乾燥した日」に花粉が多く飛散します 。特に、春一番のような暖かい南風の日は花粉が多く飛ぶため、外出時の対策を念入りに行うようご注意ください 。

*参考資料:花粉症一口メモ 2025年版

外出時は花粉症用のマスクやメガネ、つば付きの帽子を着用し、花粉が付着しにくい綿などの素材の服を選びましょう 。家に入る際は服や髪の花粉を払い落とし、すぐに手洗い・うがい・洗顔をすることが大切です 。また、睡眠不足や過労を避け、粘膜を傷つけるタバコやお酒の飲み過ぎを控えるなど、規則正しい生活を送ることも症状悪化の予防につながります 。

*参考資料:花粉症一口メモ 2025年版

当院では、運転や危険業務等のある方には原則眠気が出ないお薬を処方しています。お薬によっては眠気が出るものもありますが、医師の指示や用量を守って服用していただく限り、健康への大きな影響はないと考えられています 。どうしても眠気が気になる場合や、妊娠中などでお薬の使用を控えたい場合は、患者さんのライフスタイルに合わせたお薬を提案しますので、医師にご相談ください 。

花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)」の可能性があります 。花粉に対する抗体が、特定の食べ物に対してもアレルギー反応を起こしてしまう症状です 。例えば、ハンノキやシラカバの花粉症の方はリンゴやモモ(バラ科)、ブタクサ花粉症の方はメロンやスイカ(ウリ科)を食べた際に、口の中が腫れたりピリピリしたりすることがあります 。

*参考資料:花粉症一口メモ 2025年版

ご安心ください。小児用として処方する「鼻噴霧用ステロイド薬」は、鼻の粘膜に直接作用するため、飲み薬と違って全身への影響(成長への影響など)は極めて少ないお薬です。効果が非常に高く、ガイドラインでも中等症以上の第一選択薬として推奨されています。用法用量を守れば安全で、つらい鼻づまりの改善に最も有効です。


*参考資料:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 2024

深く関係しています。お子様のアレルギー性鼻炎による慢性的な鼻づまりは、口呼吸や睡眠障害(いびき、無呼吸)を引き起こします。これが日中の強い眠気や、学習時の集中力低下の原因となります。また、中耳炎や副鼻腔炎を合併しやすくなるため、「たかが鼻水」と放置せず、早めに耳鼻咽喉科で適切な治療を受けることが大切です。

*参考資料:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 2024

昔のアレルギー薬は眠気が出やすい傾向がありましたが、現在主流の「第2世代抗ヒスタミン薬」は、眠気や「気づかないうちの集中力・判断力の低下(インペアード・パフォーマンス)」が起きにくいように改良されています。お子様の年齢やライフスタイル、症状に合わせて、学校生活に影響が出にくい最適なお薬を処方します。

*参考資料:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 2024

スギ花粉およびダニに対する舌下免疫療法は、アレルギーの原因が確定しており、お薬を舌の下に一定時間(1分間)保持できる「5歳頃」から治療を開始できます。痛みを伴わず、将来の気管支喘息の発症を予防する効果も期待できるため、小児期からの開始が推奨されています。

*参考資料:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌 2024

当院ではレーザー治療よりも効果が強くて持続するラジオ波凝固術を行っています。お薬を使っても鼻づまりが改善しない重症のお子様の場合、ご年齢や状態によっては、アレルギーの反応を抑えるために手術を検討することがあります。ただし、小児の場合はまずお薬での治療や環境整備をしっかりと行い、どうしても改善が乏しい場合に、慎重に適応を判断します。だいたい10歳ぐらいのお子さんであれば、手術ができます(両側で10分程度)。

本説明でご不明な点や、ご質問がございましたら、お気軽に医師及び看護師までお尋ね下さい。