副鼻腔の解剖
副鼻腔炎とは、顔や頭を形作っている骨の中にある空洞を指します。本来、鼻腔と交通し空気が入っているこの空洞に炎症が生じると、空洞内の粘膜が腫れたり、膿(うみ)のような鼻汁が作り出されるようになります。炎症の原因として、細菌感染、ウイルス感染の他に、真菌(かび)による感染もあります。慢性的にこのような状態が続くものを、慢性副鼻腔炎と呼びます。
副鼻腔炎患者のCT所見
左上顎洞炎(冠状断)
左上顎洞炎(水平断)
正常な副鼻腔はCTで黒く写ります(空気が黒く写るため)。
炎症を起こしている副鼻腔は灰色に写ります。
治療は一般的に、内服(飲み薬)の治療や、鼻の処置、ネブライザー(呼吸療法)などが行なわれますが、これらの治療で改善が認められない場合、手術加療を行なうことになります(一般に保存的治療期間は3〜6ヶ月です)。
副鼻腔炎の症状は、鼻閉、鼻汁(膿性、膿粘性、粘性)、頭痛(主に前頭部)、頬部痛を認めます。
症状が長引く場合には、耳やのど・気管・気管支等に炎症が併発することがあり、小児の場合には、滲出性中耳炎・急性化膿性中耳炎を起こすことが少なくありません。しっかり治療をすることにより、小児の場合はほとんどのケースが治ります。大人の場合には、慢性気管支炎を併発していることもあり、これを副鼻腔肺症候群と言います。
非常に稀ではありますが、眼球近くの蓄膿症(篩骨蝶形骨洞の炎症)により
視神経の炎症を起こし失明にいたってしまうことや、炎症が頭の中へ波及して髄膜炎や脳膿瘍へ至ることもあります。
喘息(特にアスピリン喘息)や鎮痛剤に対するアレルギーを合併している場合には、好酸球性副鼻腔炎と言う難治性副鼻腔炎であることがあります。手術後の再発率も高く手術のタイミングにはよく相談が必要です。ステロイドの全身投与が有効であり、近年では重症喘息やアトピー性皮膚炎に用いられている生物学的製剤も副鼻腔炎の適応となっています。
一般的な治療選択